ジェンダー研究の国際的拠点 - お茶の水女子大学 ジェンダー研究センター
 

共同研究 

[◎:統括、○:事務局] 

「グローバル金融危機以降におけるアジアの新興/成熟経済社会とジェンダー」
<科学研究費補助金 基盤研究A>

【期 間】 2011(平成23)~2014(平成26)年度
【研究担当】

◎足立眞理子(IGSセンター長) 申琪榮(IGS准教授) 斎藤悦子(本学准教授) 姉歯暁(駒澤大学教授) 山田和代(滋賀大学准教授) 金井郁(埼玉大学准教授) 堀芳枝(恵泉女学園大学准教授) 長田華子(茨城大学准教授) 舘かおる(本学名誉教授、IGS客員研究員) 太田麻希子(IGS研究協力員、明治大学ほか非常勤講師) ○滝美香(IGS研究員(科学研究費))

【内 容】

本年度は、最終年度にあたるので、成果報告のまとめを中心とする。適宜、追加調査、シンポジウム、研究会を開催する。

「女性大統領と女性の政治的代表性:韓国の朴槿恵を中心に」
<科学研究費補助金 基盤研究C>

【期 間】 2014(平成26)年度~2016(平成28)年度
【研究担当】

申琪榮(IGS准教授)

【内 容】 韓国では2012年の選挙で保守政党の女性大統領(朴槿惠)が誕生した。保守政権は伝統的なジェンダー規範を支持し、政治における女性の実質的な代表性(women’s substantial representation)を損ないかねないと指摘されてきた。しかし韓国で誕生した女性大統領は、東アジア初の女性国家元首という象徴的な意味のみならず、「準備された女性大統領」のスローガンを揚げ野党の男性候補者に勝利した。朴槿惠は「女性」を選挙のキーワードにして戦い、有権者は女性候補者を大統領に選んだわけである。本研究は、朴槿惠大統領の在任期間を研究期間とし、朴政権の女性関連政策、政治制度、及び国政選挙(2016年)における政党の選挙戦略の変化を考察することで、保守政権の女性大統領が女性の実質的な政治代表性にどのような影響を及ぼしうるのかを考察する。本年度は就任一年目の実績と文献研究に取り組む予定である。

「移住労働女性のこどもと宗教的禁忌に関する研究:インドネシア西ジャワ州を事例として」
<科学研究費若手研究B> 

【期 間】 2014(平成26)年度~2016(平成28)年度
【研究担当】

平野恵子(IGS研究機関研究員)

【内 容】 移動の女性化の進展につれ、インドネシア人移民送出しのコミュニティでは国籍未登録の子供が散見されるようになった。彼らの法的地位に関する根拠は存在するものの現状は未登録のままであり、彼らの存在は政府からも移住労働者支援NGOからも等閑視されている。本研究は、第一にこどもたちの存在と彼らの母親である移住女性の身体表象との関連性、第二に移住女性のセクシュアリティについての宗教的言説とこどものアイデンティティ形成との関連性を考察する。国家と地方自治体、宗教組織、そしてこどもが養育されるコミュニティという3つの空間における相互作用を踏まえ、送出し社会におけるミクロレベルのジェンダー力学を明らかにすることを目的としている。

「日本の都市部における女性の政治参加についての研究:首都圏の自治体を事例に」
<科学研究費若手研究B><日韓文化交流基金>

【期 間】 2014(平成26)年度
【研究担当】

◎尹智炤(IGS研究協力員、カンザス大学教員) ◎大木直子(IGS研究協力員、本学ほか非常勤講師) 申琪榮(IGS准教授) 

【内 容】 本研究は、政治的リクルートメント研究の観点から、日本の地方議会において、女性の政治参加がどのように進行し、変化しているのか、について事例研究を行う。1980年代以降、日本の地方議会における女性議員割合は一貫して増加傾向にあり、2000年代の大規模な市町村合併による議員定数が大幅に減少しているにもかかわらず、その傾向は続いている。ただし、女性議員の所属党派については、無党派中心だったのが政党化・多党化し、特に、都道府県や政令市では自民党や民主党の女性議員割合の増加が顕著となっている。本研究は、近年の地方議会に見られる女性の政治参加の変容の実態を明らかにするため、女性の議会進出度が高い東京都と神奈川県を取り上げ、文献調査やインタビュー調査などを行う。

「サステイナビリティとジェンダー2014」
 <国連大学・お茶の水女子大学共催シンポジウム経費>

【期 間】 2014(平成26)年度
【研究担当】

◎舘かおる(本学名誉教授、IGS客員研究員) 菅野琴(IGS客員研究員) 

【内 容】 ジェンダー研究センターは、これまでの7年間、菅野琴元ユネスコ本部職員を研究担当者に迎え、国連機関の活動に焦点を当てながら国際的なジェンダー研究の動向を明らかにする研究プロジェクトを推進してきた。本年度は、「ESD(持続可能な発展のための教育)ユネスコ世界会議」の日本開催を機に、国連大学と本学の共催で国際シンポジウムを開催し、3・11以降の日本において「サステイナビリティとジェンダー」の観点から、今後の国際社会の方向性を論じ合うことを企画している。(国際シンポジウムは、2014年11月1日開催予定)

「女性の政治・経済進出の日韓比較:現状、取り組み、エンパワーメント
(Women's Political and Economic Participation in Japan and Korea: Empowerment Beyond Numbers)」
 <日本学術振興会 二国間交流事業共同セミナー>

【期 間】 2014(平成26)年度
【研究担当】

◎足立眞理子(IGS教授) ◎申琪榮(IGS准教授)  斉藤悦子(本学准教授)
大山七穂(東海大学教授)  大木直子(IGS研究協力員/本学ほか非常勤講師) 平野恵子(IGS研究機関研究員)

【内 容】 日本と韓国は後発発展国として民主主義と経済発展を同時に成し遂げ世界の注目を集めてきたが、その発展モデルはジェンダーによる公・私分離を前提とした性別役割分業モデルであった。その予期された結果として、両国における女性の政治・経済分野への参加はOECD諸国のみならずアジアの発展途上国よりも低い水準に止まっている。男女の公平な社会参加は、少子高齢化が著しく進んでいる21世紀において持続的な社会発展のために喫緊の課題となり、2000年代からは女性の社会参加を促す多様な取り組みが施されている。韓国は2000年代前半に政治分野で強制力のある法的クオータ制(一定数の女性を選挙の候補者に割り当てる制度)を取り入れ、女性議員の割合を15.7%まで引き上げた。2013年12月には国営企業の役員会にもクオータ制を導入する法案が提出された。他方の日本では、強制力を持つ法的な措置は取らず各主体の自主的な取り組みを促す漸進的なアプローチが取られている。また、政治分野より民間企業や行政によるポジティブ・アクションが進められている。このように日韓の間では政策的取り組みとこれまでの成果が大きく異なる。本セミナーは、女性の政治・経済分野への進出という共通の課題を抱えながら異なる取り組みを試みてきた日韓のアプローチを両国の政治・経済学の研究者が比較研究し、ジェンダー視点に立ってその成果と限界を評価することを目的とする。
相手は韓国ソウル市立大学、Kim Minjeoung 教授ほか。

「分断された都市空間を繋ぎ合わせる:フィリピンにおける国内外貨獲得部門の興隆と移住第二世代女性の時空間」

【期 間】 2014(平成26)年度
【研究担当】

◎太田麻希子(IGS研究協力員)  足立眞理子(IGS教授) 

【内 容】 本研究では、グローバル金融危機以降に本格化してくる、フィリピンにおけるコールセンターを中心としたBPO産業の成長と新しい女性雇用の拡大、就業構造の変容がもたらした低所得層への影響を明らかにする。第一に、マニラ首都圏の低所得地域で現地調査を行ない、先の諸現象がもたらした都市移住第二世代女性へのインパクトを検証する。近年の首都圏内では高学歴人口が増加するとともに、事務職従事者が拡大、一方で従来型の低所得女性向け雇用の一部減少が観察される。こうしたマクロな変化がマニラの低所得層の集住地域を出自とする若年女性の就労にいかに影響しているのかを、その親世代の経験と比較しながら明らかにする。その際、コールセンターをはじめとする事務職従事者と都市インフォーマル部門の販売従事者に焦点を当てたい。第二に、先の若年女性の職住関係を職種・就業地ごとに明らかにする。職住間や階級間で分断され、日常の移動に困難が伴うマニラの建造環境に彼女たちがいかに対処しているのかを考察し、当事者にとって都市空間を「移動すること」の意味を問う。以上の作業を通して、グローバル経済におけるマニラの位置づけを考察し、近年の地理学及び経済学理論における都市空間分析と場所placeをめぐる議論について再検討する。

「アジアにおける女性に対する暴力シェルター調査研究」
 

【期 間】 2014(平成26)年度
【研究担当】

◎戒能民江(本学名誉教授、IGS客員研究員) 申琪榮(IGS准教授) 

【内 容】 本研究は、女性に対する暴力被害者支援を行う、アジアにおける民間シェルターの現状と課題について、調査研究を行うことを目的とする。本年度は、調査設計を行うための先行研究の整理および意見交換を行う。

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