|
|||||||||
|
|||||||||
アジア発、ジェンダー研究の世界的拠点を創る | |||||||||
戒能民江(拠点リーダー)
F-GENSとはお茶の水女子大学21世紀COEプログラム「ジェンダー研究のフロンティア(Frontiers of Gender Studies: F-GENS)」について、ご紹介いたします。学術的概念としての「ジェンダー(社会的―文化的性別)」が日本の学界において制度的承認を得たのはごく近年のことといえます。たとえば、文部科学省科学研究補助金の時限つき細目として「ジェンダー」が新設されたのは2000年のことです。その2年後の2002年度からは「時限付き」という要件が外されて「複合新領域」の「分科」ならびに「細目」として「ジェンダー」が認められました。その背景には、「男女共同参画社会基本法」(1999年施行)制定に象徴される社会環境の変化があります。 お茶の水女子大学は、その前身も含めば30年弱の歴史をもつジェンダー研究センター(Institute for Gender Studies: IGS)を中心に、国内外の大学・研究機関、第一線の研究者と共同して日本におけるジェンダー研究教育を推進し、その社会的承認に貢献してきました。しかしながら、世界的な見地に立って日本のジェンダー研究教育を問うなら、まだまだ取り組むべき課題は多いといわねばなりません。女性に対する暴力、貧困の女性化、医療・生殖・遺伝子技術の急展開と女性の身体への影響、あるいは文化原理主義の台頭など、グローバル化する世界のジェンダー課題群が続々と浮上しています。また、国内では少子・高齢社会の到来、雇用の流動化・不安定化といったジェンダー配置に大きなインパクトを及ぼす急激な変化が生じています。そして、これらは世界大の課題群とも連動しています。新たなグローバルなジェンダー課題群を日本、そしてアジアの文脈、視点から検討することが必要です。 いかにしてジェンダー平等と多様な個が尊重される男女共同参画社会の実現を達成できるのか。また〈女〉、〈家族〉、〈地域〉、〈国家〉はどのようにグローバルなかたちで再構築されうるのか。 F-GENSは、こうした問いに応えるべく、アジア諸国ならびに欧米諸国と緊密な学術交流を行い、アジアから発信する21世紀ジェンダー研究のフロンティアを開拓します。そして、次世代のジェンダー研究者を支援し、その育成のための環境を整備していきます。 |
|||||||||
拠点形成の目的―4つの目的 |
|||||||||
F-GENSの目的は次の4つに整理することができます。 1. 現代世界が抱えるさまざまな課題と要請にこたえるジェンダー研究のフロンティアを切り拓くこと。 2. ジェンダー視点に立って、既存の学問領域を横断し、多様かつ複層的な見地から学問の再編成を行うこと。 3. アジアの歴史的体験・思想体系を参照し、間アジア的対話をつうじたグローバルなジェンダー研究を行うこと。 4. 拠点組織となるジェンダー研究センターと大学院が有機的に連携し、かつ国内外の大学・研究機関等との緊密な学術交流をつうじて、アジアにおけるジェンダー学術ネットワークを形成、推進すること。 |
|||||||||
研究面での拠点形成
|
|||||||||
F-GENSは事業推進担当者16名を中心に、「政策と公正」「少子化とエコノミー」「身体と科学・医療・技術」「理論構築と文化表象」の4つの研究プロジェクトを展開していきます。これらの4つのパースペクティブを交差、連動させることで、〈女〉、〈家族〉、〈地域〉、〈国家〉のグローバルな再構築を行い、より高次の「人間開発」を追究します。 また、プロジェクト別の研究のほかに、2005年度より、統括プロジェクトとして「ジェンダー研究と<アジア>」を設置し、プロジェクト別研究の統合を図り、研究の集約と理論的総括をめざします。 |
|||||||||
教育面での拠点形成
|
|||||||||
F-GENSは次世代のジェンダー研究者育成のため、若手研究者中心型ワークショップの開催、RA雇用制度の導入、研究員の公募、外国人留学生や訪問研究員等の受け入れ、大学院生や留学生の国内外における研究成果
の発表支援などを実施し、各種研究事業の策定・実施・評価への参加を促していきます。また、ジェンダー研究センターの活動と大学院の研究教育を体系的、有機的に連携させながら、ジェンダー研究の専攻化、副専攻化を、大学全体の将来構想のなかで検討していきます。 以上をつうじて、研究者のみならず、男女共同参画社会形成の担い手となる行政職、NPO/NGOの活動家、教員、司法職、メディア関連職などの育成・再教育にも努めていきます。 |
|||||||||
【図1 拠点形成のための組織編成】 【図2 F-GENS研究活動の布置】 【パワーポイントで見る計画の概要】 |
|||||||||
COPYRIGHT © 2003-2008 OCHANOMIZU UNIVERSITY ALL RIGHTS RESERVED. このサイトについて |