Frontiers of Gender Studies ジェンダー研究のフロンティア
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2007/3/9 院生・若手研究者支援 統計セミナー「量的研究と質的研究のコラボレーション」



 お茶の水女子大学21世紀COEプログラム「ジェンダー研究のフロンティア」「誕生から死までの人間発達科学」共催

【日時】2007年3月9日(金)10:30〜16:30 
【場所】お茶の水女子大学 文教育学部1号館3F 304教室
【講師】若林芳樹(首都大学東京准教授)
    大森美香(お茶の水女子大学助教授)
    杉野勇(お茶の水女子大学専任講師)
【司会】水野勲(お茶の水女子大学助教授)
【記録】尾崎裕子(お茶の水女子大学COE研究員)
【備考】参加者:31名



【内容】
  2つのCOEでは、さまざまな専門分野の研究者が集まっているが、それとは別に、同じ専門分野であっても、方法論の違いにより議論が展開しなかったり、共同研究が難しいことがある。特に、量的研究と質的研究のそれぞれを行う研究者同士での疎遠な関係が、実りある共同研究を作りだせなくしている。
  そこで今回の統計セミナーでは、主として量的研究を行ってきた研究者が、質的研究をいかに捉え、両者の生産的なコラボレーションをさぐってきたかを、地理学、心理学、社会学でこのような問題を考えてこられた3人の講師を招き、その講義をもとに、院生・若手研究者が自らの研究実践に基づいて意見交換しあう場を作ることを目的に行われた。参加者は学際性に富み、お茶の水女子大学大学院のすべての専攻の大学院生だけでなく、学外からの参加者(男性1名を含む)もあった。

 第1時間目は、人文地理学の立場から若林講師によって、東京大都市圏における30歳代シングル女性の居住地選択における研究を例に、国勢調査等の統計データやインターネット調査データの統計解析といった量的研究法と、グループ・インタビュー、個人インタビュー、広告、雑誌、ノンフィクション作品の内容分析を行った質的研究法の具体的な紹介がなされ、異質な資料や方法を使って多面的に対象を捉えた分析結果と、その研究方法のそれぞれの利点と限界について述べられた。

 第2時間目は、臨床心理学の立場から大森講師により、臨床心理学におけるいくつかの研究手法、事例研究と事例報告の違いや、質的研究法や実証に基づく実践がアメリカでは最近重視される方向にあること、ただし教育プログラムにおいてはそれらのカリキュラムが非常に少ないこと等が紹介された。また単一研究において質的・量的データを同時または逐次的に収集する多元的方法デザインについての説明、さらにはとくに臨床心理学における実践と研究における研究者の利益とコスト、リスク及び協力者の利益の方向性や、質的研究プロセス、執筆における注意点などについても述べられた。

 第3時間目は、社会学の立場から杉野講師により、量的研究・質的研究という区別が明らかにできるのかどうかといった問題提起や、社会学の中での計量分析のいくつかの考え方の紹介がなされた。また量的・質的研究のどちらかに相当するといった判断が難しい手法の具体例や、調査結果の形式化や標準化、コーディング、何がケースかといった検討すべき問題が挙げられた。さらに、ソフトウェアを使ったコーディングの例も紹介された。

 3人の講師による講義の後行われた総合討論では、参加者からの質問や感想を踏まえ、それぞれの立場からの議論が繰り広げられた。
  今回のセミナー参加者の専攻分野は、心理学、地理学、教育学、公衆衛生学、栄養学、言語学、社会学、経営学等、多岐にわたり、手法もそれぞれ異なっていたが、さまざまな分野からの講義は大変刺激になったとの感想が多く聞かれた。参加者からは、たとえば1つの研究における量的方法と質的方法の統合について、また質的研究の具体的な手法や、それに対する評価等についての質問が数多く出された。日頃あまり聞く機会のない他分野の専門的内容の紹介は新鮮で興味深く、自分の研究の位置づけを考える有意義な機会であり、今後の参考になるという感想が多数寄せられた。さらには、今後より時間をかけた同様のセミナーの開催を期待する声もあった。




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