Frontiers of Gender Studies ジェンダー研究のフロンティア
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2008/3/27 <ご挨拶>21世紀COE拠点形成事業を終えるにあたって 拠点リーダー 戒能民江


  21世紀COE拠点形成事業を終えるにあたって
 ―ジェンダー教育研究のグローバルな新展開への礎―
  
             拠点リーダー 戒能民江(大学院人間文化創成科学研究科)


 F-GENSは2008年3月末をもって、5年にわたる拠点形成事業を終了します。
 F-GENSは、現代世界に生起するさまざまなジェンダー課題群について、アジアの文脈から学問横断的にアプローチすることによって、男女共同参画社会および多文化共生社会の形成に寄与することを目的に、アジアから発信する学際的なジェンダー研究教育拠点の形成をめざして活動をおこなってきました。
 延べ18名の事業推進担当者を中心に、本学の教員・大学院生をはじめ、国内外の200名以上の方がたと協働・連携しながら拠点形成事業を展開してきました。まさしく、全力疾走の5年間であったように思います。ここに無事、事業の終了を迎えることができましたことをご報告し、ご協力、ご支援をいただいた学内外、国内外の多くの方がたにお礼を申し上げます。
  F-GENSは次世代のジェンダー研究の中核を担う若手研究者の育成・支援に力を注いできました。ジェンダー研究教育拠点として、本学は、2005年度には博士後期課程に「ジェンダー学際研究専攻」を新設し、翌2006年度には前期課程に「ジェンダー社会科学専攻」を設置して大学院教育の充実を図ってきました。F-GENS、ジェンダー研究センター、後期課程関連専攻および学内の関連プログラムの有機的な連携のもと、ジェンダー研究者育成は着実に推進されています。なかでも、F-GENSの活動の中から、「若手研究者ジェンダー・スタディーズ・ネットワーク」という自主的組織が2006年に誕生し、活発な活動を展開していることは、主体的な研究者育成をめざしてきた本プログラムにとって大きな成果です。本事業終了後も継続し、さらなる発展を遂げることを期待しています。
 本プログラムではアジアを中心とした国際学術ネットワークおよび国内のジェンダー研究・女性学ネットワークの形成にも努めてきました。国際学術ネットワークはアジア、北米、中南米、ヨーロッパとグローバルな広がりをみせ、共同研究・国際会議などを通じて連携した海外の研究者は90名を超えました。また、本学ジェンダー研究センターとともに呼びかけた「女性学・ジェンダー研究コンソーシアム」には、ジェンダー研究・女性学関連センターなどを持つ国内の大学など16機関が参加し、具体的な連携・協力態勢づくりへ向けて第一歩を踏み出しました。
 共同研究についても大きな成果をあげることができました。2005年の中間評価では、新たな研究枠組みや新しい分析概念の提起を行なうよう要請されましたが、学問的内容の革新をめざして、「再生産のグローバル化」、「テクノロジーと身体」、「暴力とジェンダー配置」という、三つのジェンダー研究の新研究領域を開拓しました。いずれも、現代世界の重要課題でありながら、伝統的な学問の枠組みでは問題の解明や対応が困難である同時に、従来のジェンダー研究が必ずしも正面から取り組んでこなかった課題です。
 さらに、東アジア大規模パネル調査「家族・仕事・家計に関する国際比較」および近代社会のジェンダー/セクシュアリティに関する「文化表象データベース」構築をおこないました。その成果は、ジェンダー研究の共有財産として近々公開予定です。
  F-GENSは成果発信にも努めてきました。このほど、事業を終えるにあたり、拠点形成事業の成果を広く世に問い、次代のジェンダー研究のリーダーとなる若手研究者をはじめとする研究者や大学人、多くの市民のかたがたと成果を共有するために、『シリーズ・ジェンダー研究のフロンティア』全5巻を出版しました。学術雑誌『F-GENSジャーナル』は『ファイナル・レポート』を含めて11号に及び、Publication Series などの報告書は40冊を数えます。
 現代世界は日々刻々変容を遂げています。文字通り「フェミニズムの政治の転換点」に立ついま、ジェンダー研究は着実に地歩を固めつつありますが、ジェンダー課題の解決に困難を伴う状況には変わりありません。F-GENSはジェンダー研究の理論的側面と実践的側面とを常に意識し、その統合をめざしてきました。また、公正と多様性を尊重する視点から、開かれたジェンダー研究をもめざしてきたといえます。
 今後は、21世紀COEで培った研究教育活動の蓄積と学術ネットワークを礎にして、本学ジェンダー研究センターおよび大学院を中心に、ジェンダー教育研究のさらなる新展開を図っていく所存です。これからも、国内外の多くの方がたと協力・連携してジェンダー研究の精緻化とグローバルな観点からの政策提言に努め、男女共同参画社会形成と学術の発展および研究者の育成に貢献していきたいと考えております。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
 5年間のご協力、ご支援に心より感謝いたします。


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